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hinodemukaidori

『あそこには日蔭もあり、風もほどよく吹いています。それに、草が生えていて坐ることもできるし、あるいはなんでしたら、寝ころぶこともできます。』   (藤澤令夫訳プラトン著『パイドロス』)

「今晩はだめよ エディプスちゃん」

彼 あれ どう? 彼女 気が進まないわ 彼 ぼくがきみを思ってるほど きみはぼくを思ってくれないんだなあ 彼女 それはね あなたが情緒的に閉塞されているからよ (「今晩はだめよ エディプスちゃん」(冒頭) R.D.レイン著 村上光彦訳『好き?好き?大好き?…

眠れない日の立原道造―あるいは、(世界中はさらさらと粉の雪)

「初秋」 夜、窓をひらくと、あたらしい油絵具のにおいがぷんとした。近所に絵描きのアトリエなどある筈はないので不思議に思うと、明るい月が隣の家の屋根に絵を描いているのだ。仕事を邪魔しては悪かろうと、窓をとじていたら、やがて一なすばかり、こっち…

R.D.レイン『好き?好き?大好き?』引用とメモ

デイジー、デイジー ぼくたちこれからどうしたらいい? ぼくはなかば狂ってるよ 恋してしかも憎んでるよ きみのことを ぼくはこんなにちぐはぐなのに とにかく妖精ではない ぼくたち もし別れたりしたら ぼくの心臓は割れちゃうだろうな もうとっくに二つに…

日記の日記

「第一印象というのは、しだいに消えてゆくものです。そうしていったん薄れてしまうと、もう二度と戻ってきません。この国で、どんな不思議な感動をこれから受けようとも、初めての印象ほど、心が動かされることはないでしょう」 私は今、当時あわただしく書…

やわらかい部屋とやわらかいメルロ=ポンティ

僕の寮の狭い個室の真ん中にこうしてすわっていると、自分がこの個室に包まれている感じがします。やわらかくて伸縮性のある一枚の布、ぴんと平行に張られた大きな布があって、その上から僕がダイブして、ぎゅうっと布が僕の体重と衝撃によって沈んでいき、…

詩とお近づきになりたい深夜

僕は詩があんまり好きじゃない。そのくせ文学部で、哲学科のすみで詩学の勉強をしているから、またそうやってはすに構えて、とか、またはにかみを言う、とどやされそうだけれど、少なくとも高校生のときまでは詩なんて大嫌いだったし、詩と僕は現国の授業で…

太宰治の創作原理 ―「だまっていれば名を呼ぶし、近寄って行けば逃げ去る」作品たち―

授業でやったことを話題に転用することは日常生活でもよくやるのですが、ブログに書くともだんだんなくなってきたので(なあに、はじめからなかったさ)、ついにレポートをそのまま転用するまでに。1年生の頃の教養科目のレポートなのでふうん、という感じで…

読んでみよう 太宰治『待つ』

一時期面倒をみてくださった先輩が、この3月に卒業・卒寮するので、その前に文芸誌かなにかをひとつ無料で出したいということで、僕にも声をかけていただいた。「暇」というテーマでなにかひとつ書いてくれということだった。このテーマに真正面から向いて「…