hinodemukaidori

『あそこには日蔭もあり、風もほどよく吹いています。それに、草が生えていて坐ることもできるし、あるいはなんでしたら、寝ころぶこともできます。』   (藤澤令夫訳プラトン著『パイドロス』)

ついでに病と、そのついでに土曜の日記

 ついでに、で行動します。土曜日のこと。旧同庁より一本南の交差点を横断中、傘が暴風雨によってアンテナに早変わりしました。魔法かと思った。そして杖から出した魔法の威力を統御できない魔法使いばりに、傘に振り回されました。うおおって声が出た。数年に一度の豪雨をレポートする地方のアナウンサーの後ろとかに映ってそうだった。あれなんで交差点をわたろうとするととたんに風がつよくなるのでしょうか。ビル風?小学校の社会の授業で、ヒートアイランド現象、騒音にならぶ都市の問題としてならった時に、他の問題と比べてそれ被害軽くね?と子供心に思ったビル風のせいなの?なんのせいであれ、アンテナになった傘は雨をキャッチしてくれないので、べちゃべちゃになりながら北上しました。大通りの画材屋で茶ばんだ画用紙を買う、というその日のミッションはすでにクリア済みだったのでまっすぐ帰ってもよかったのですが、それだと雨に濡れぞんじゃないかと考える。どうせ濡れるなら他にもなんかしてから濡れて帰った方がお得じゃないかという気持ち。あと傘折れぞん。この気持ちをどこかへぶつけたいぞ。アンテナが僕の物欲をキャッチ。ついで、ついで、と本屋さんへ。

 集中講義の講義指定図書を二階でさがす。『明るい部屋』。あった。あっ『物語の構造分析』がとなりに…前少し読んだけどこれ気になる。一方は2300円、他方は2800円。どちらも税抜き。どっちかは買おう(この時点で『明るい部屋』が講義指定図書なのは忘れました)。ぱらぱらめくって、面白そうな章を立ち読み。奥にあるスタバの店員さんが20回目の「お待ちのお客様ー」を叫んだころで(お待ちのお客様はそれぞれ別のひと)本をそっと戻す。

 結局どっちも買わないという第三の選択肢をとり一階へ。でもこのまま帰るのもあれだし…。エスカレーターを降りてるときに、びちゃびちゃだった服がすっかり乾いていたことに気が付いた。

 昔から漫画を買うとき、ちょっと恥ずかしくなります。小学生のころ、絶望先生を買うときは、一緒に「ビギナーズ・クラシックス奥の細道』」とか買ってました。部屋のカラーボックスの真ん中の段、絶望先生の横に、同じ巻数だけのビギナーズ・クラシックスが並びました。今思うと、漫画と一緒にわざわざ真面目そうな本(それも教科書で名前を知ったようなやつ)をレジでさしだし、かしこぶる小学生ってあいたたですね。片田舎のジャスコ未来屋書店でカッコつけなくても…。臆病な自尊心と尊大な羞恥心。別に漫画が恥ずかしいものとかおもってるわけじゃないのですが。

  一階の漫画コーナーでおめあてのをみつけて、それから漫画じゃない本も探す。いや、ついで、ついでだからと言い聞かせてうろうろ。ナボコフの本でこんな目に悪そうな表紙のやつあったっけ?新刊なんだ。〈町のいたるところで玉ねぎのスープが煮えていた〉(うろ覚え)こういうのいいな。えっ脇のにおいの比喩なの…。そういえば小学生のころ大槻ケンヂのエッセイをあつめてたな…また読みたいな。インドでマジックマッシュルーム入りのカレーかなんか食べちゃう話とか覚えてる。1時間くらい店内をまわって満足する。よし、とレジへ進む。店員さんが、袋の持ち手のとこにテープを張ろうとするも、袋のなかの、持ち手の穴と同じ高さのチラシにもテープがくっつきそうになり躊躇する。けど、えいっみたいな表情をしてチラシごと一思いにテーピング(案の定あけたときチラシはやぶけた。えいっ)。店を出ると、外はとっくに晴れてました。買ったのはキルミーベイベーの新刊と、前から気になってたワカコ酒。どっちも漫画。ついで、ついでで行動するのはいいけど、いっつも当初の思い立ちからずれるんだよなあ…。

 

 

 ということを思ったついでに、記事にでもしようかなと思いながらその日は寝たんですが、さっきレイトショーの映画みた帰りに土曜日のことを思い出そうとしたら、何をしたのか本当に出てこなくてあせりました。金曜日と日曜日にいろいろあったので記憶が薄まったのかなとも考えましたが、それでもどきっとしました。本屋の帰りにそのまま銭湯に行ったのも忘れてました。やばい。その日のことをふりかえるついでに、日記でもつけてみようかな…。ついでにこうして記事にでもしたらいいかな、これ誰が読んでくれるんだろうな…。ついでに記憶に残るか、書き留めたくなるようなことを、その…と、こうしてまたずれていきます。